私は手造りがすべてだとは思っていません。ただ、自然から与えられた良い素材が自分の手の中で次第に姿を変えていく、時間をかけた丁寧な仕事が、その変化をスローモーションでみせてくれる、それがただただ面白いと思うのです。もの作りの最初の形がそこにあると思うのです。
一生懸命に汗を流して作ったものが、必ずしも適切に評価されるとは限りません。
うまい、まずいの声に戸惑っていたのでは作る事その事が苦痛になります。自分が納得できればそれでいい、王道を歩いている確信があれば、それがベストと思っています。
もの作りはまず素材選びから始まります。素材がよくなければすべての努力は無駄になります。いいものが手に入れば、あとは楽しくものが作れます。私達日本人は、遠い記憶の中に意地とか見栄を大切に思うDNAを持っています。私はスタッフに「意地をはれ」と声をかける事がよくあります。