岡山県は平野が多く温暖な気候に恵まれている為米も野菜も大変美味なものがとれます。特に一級河川である高梁川沿いで収穫される 朝日米、あけぼの米 はよくしまっていて酒造りに適した米です。 私共では大吟醸は兵庫県産の山田錦を使用しますが皆様にいつも飲んでいただくお酒は産地指定の 県産朝日、あけぼのの一等米を使用しています。 “おいしい酒は美味しい米からしか出来ない” というのが私共の実感です。
仕込水は高梁川の伏流水を使用します。軟水である為淡麗でやさしい酒質となります。又、5年程前から岡山県哲多郡金附山地底湖水を使って吟醸を造っていますがいまだ水の力を100%表現する事が出来ません。いつの日かこの素晴らしい水をコントロールして目のさめるような酒を造るのが私共の夢です。
毎日約1t半の米を蒸す場所です。酒屋では蒸す作業を蒸強(じょうきょう)と呼びますが文字通り112°くらいの大量の加圧蒸気を使って米を蒸し上げます。真冬の朝早く大量の蒸気を吹き上げるので年に2回ぐらいは火事とまちがえて消防車がとんできます。
造り酒屋の心臓部ともいえる大切な空間です。室温35度、湿度83%に常に保たれた小型のサウナのような場所です。この中で48時間かけて麹を育ててゆきますが24時間管理の過酷な労働と経験が生んだ技が合わさってそれぞれの種類の酒に応じた麹が造られてゆきます。
酒を発酵させる為の酵母の培養室です。私共では独自の酵母(家付き酵母)も使用しますので極度の清潔と静寂を保つために製造中は立入禁止となります。
11月下旬より3月上旬まで一日一本ずつ酒が仕込まれていきます。麹、酒母、蒸し米、仕込み水を合わせて約20日で日本酒になります。私共では今は大変珍しくなった昔ながらの完全開放発酵方式で酒を造ります。
私共の蔵の最大の特徴でもある圧搾場です。20日かけて育てた醪はおかゆ状になっていますので
酒粕と清酒に分離する為の工程です。きわめて旧式の圧搾機ですので省力化、生産効率を高めた
新式の機械に較べて気むづかしく特殊な技術がいりますがなによりも酒に優しい搾り方をしてくれます。
この搾り機への思い入れが私共の蔵の唯一のこだわりです。
「荒走り」はこの搾り機でなければ採集することはできません。
蔵内ではこの機械は「フネ」と呼ばれます。
出来上がった酒は熟成が必要となります。出荷時期、酒の種類、あるいはそれぞれの酒が持つ個有の性格に合わせて適切な温度で管理をしてやります。早いもので2ヶ月、遅いもので3年の月日を密閉されたこの空間で静かに刻を待ちます。
4~5種類のそれぞれの個性を持つ成熟した酒はある率でブレンドされこの場所でボトリングされます。現在私共では70種ほどの酒がありますがブレンドの率はすべて社長が決定します。したがって社長がいない日は壜詰ができません。又酒は生鮮品と考えていますので常に在庫は2~3日分しか持たないようにしています。
上に戻る。