私は手造りがすべてだとは思っていません。ただ、自然から与えられた良い素材が自分の手の中で次第に姿を変えていく、時間をかけた丁寧な仕事が、その変化をスローモーションでみせてくれる、それがただただ面白いと思うのです。もの作りの最初の形がそこにあると思うのです。
一生懸命に汗を流して作ったものが、必ずしも適切に評価されるとは限りません。
うまい、まずいの声に戸惑っていたのでは作る事その事が苦痛になります。自分が納得できればそれでいい、王道を歩いている確信があれば、それがベストと思っています。
もの作りはまず素材選びから始まります。素材がよくなければすべての努力は無駄になります。いいものが手に入れば、あとは楽しくものが作れます。私達日本人は、遠い記憶の中に意地とか見栄を大切に思うDNAを持っています。私はスタッフに「意地をはれ」と声をかける事がよくあります。
森田酒造の圧搾機は、2020年5月産業遺産学会より、産業遺産学会推薦産業遺産に認定されました。
酒造用として使われる油圧式の昇降圧搾機の初期の形態を持ち しかも現役稼働する希少な圧搾機であることが評価されました。
《産業遺産学会 推薦産業遺産とは》
「保存を必要とする重要な産業遺産のうち、国あるいは地方自治体による文化財指定を受けていないもの」について、産業遺産学会が独自に選定した産業遺産のことを言います。